窓のむこう

現在43歳。 10年前の夏に脳梗塞で死の淵を彷徨い、95%命は助からない、 生還できても植物人間になるという絶望的な病魔に犯される。 集中治療室に10日間、1ヶ月後にリハビリ病院に転院し、 奇跡的に2ヶ月後に退院。 入院生活とリハビリから僕が見たもの。

2007年8月16日(木)

その日3箱目の煙草の封を切った。
独り会社のベランダから、美しい花火の映る神宮の夜空をどんより眺めていた。
あの光の下で会社の仲間達はビール片手に楽しんでいるはずだ。
「俺も行きたいな。。」
毎年神宮の花火大会は、会社のPCの前でかすかな音だけを耳にしていた。
実際に現地に行って花火を堪能したのは会社を設立した初年度だけだった。

暫く禁煙していたのだが、近頃は仕事の不安と重圧から逃げるように1日3箱は吸い続けていた。
何かすがるものがなければ仕事の重圧に耐えられなかったのだ。
オレンジ色の血尿が出る程、過酷な状況だった。
それこそ心の休まる時間も無く、
その重圧は心の内壁を深く絶え間なく削り取っていたのかもしれない。

数日前から生涯で初めての激しい肩コリに悩まされていた。
左肩のあたりの妙な固い塊が顔を右に向けるのを邪魔する。
寝違えたような億劫な日々が1週間程続いた。
会社の同僚が気を使って青山にある知り合いの整体院を紹介してくれた。
先週は渋谷の針治療にも行ったが、一時的に痛みは和らぐものの夜にはまたコリに悩まされる。
撮影の仕事が終わり、整体やマッサージに詳しい仕事仲間が
痛みのある肩や右腕をほぐしてくれたが
「う〜ん…すっごいコってますね。。良いマッサージを紹介しますから今度行って下さいよ。」

この仕事が落ち着いたらゆっくり休養しよう。。
そんな事を思い続け半年以上経つ。